日本の財政破はありえない

現代貨幣理論
現代貨幣理論

財政破綻とは?

最近のコロナ禍において国債を大量に発行し、財政破綻する・・・という話題を耳にすることが多いと思います。
そもそも、財政破綻の定義とは何でしょうか?

財政破綻とは借金の返済ができなくなる事。利払いができなくなる事になります。

上記は日本国家全体のバランスシートになります。(民間非営利団体は少額の為省略してます)
よくマスコミが報道する「国の借金が1000兆円ある」というのは貸方(負債)の赤色の部分です。
(正確には政府の借金ですが・・・)

以前説明しましたが誰かがお金を借りた時誰かがお金を貸しています。
政府がお金を借りているということは誰かがお金を貸しています。
その貸しては、借方(資産)のグレー(金融機関)と緑(日本銀行)になります。

図を見て気づくと思いますが、資産と負債は同額になります。(民間非営利団体は少額の為省略してます)
つまり、政府が負債を増やさなければデフレである現在では、GDPは大幅に減少し、私たちの所得は激減していたでしょう。

財政破綻の条件

財政破綻するには3つの条件を満たす必要があります。
逆に言えば、1つでも条件を満たさないと財政破綻できないのです。

その条件とは何なのか?

1、国債金利の急上昇
2012年ギリシャは財政破綻をしました。その時の国債金利は40%を超えました。
誰も政府にお金を貸さないので金利が急上昇しました。

2、政府の国債が自国通貨建てではない事
2001年のアルゼンチン、2012年のギリシャは財政破綻しました。
その時、国債はアルゼンチンはドル建て、ギリシャはユーロ建てでした。

自国通貨建てであれば、例えば日本であれば円を発行し、国債を買取る事ができます。
しかし、ドル建てであれば日本ではドルを発行できないので国債を買い取ることができないのです。

3、固定為替相場制でない事
固定為替とは政府が宣言をすれば自動的に固定化されるものではありません。
為替を固定化させる為に政府が手を加えなければいけません。

例えば日本の金利が1%、米ドルの金利が5%であれば金利が高い方すなわち、円から米ドルへと両替が行われます。円が売られ、米ドルが買われる為、円安ドル高へと為替は移行します。
それでは為替を固定できない為、日本は保有している米ドルにて円へ両替をするか、金利を米ドルと同じにする必要があります。

両替は日本が保有する米ドルが無くなれば両替ができなくなりますから、ドル建て国債を発行し、ドルを調達するしかありません

金利の引き上げでは、デフレの国において、金利を上昇させると、ますますお金を借りなくなります、すると、国のGDPが減少し、国を維持できなくなり、財政破綻します。

その条件を覚えていただき今の日本の現状を下図に表しました。

政府の長期債務残高は増加しているにもかかわらず長期金利はずーと低下しています。今ではほぼゼロです。
借金が多い!財政破綻する!という国の金利がどんどん下がっています。おかしな状況ですね?笑

長期債務残高は1970年と比べて150倍以上になっています。しかし何か問題が起きていますか?
ずーーと破綻すると唱える人がいますが、債務がいくらになれば破綻するんですかね?

なぜ、国債金利がここまで低下していっているのか、
ちなみに「国の借金1000兆円!国民一人当たり800万円!」という言葉は嘘です。
これも以前説明させていただきました。
日本国は世界一のお金持ちの国であり、その中の政府がお金を借りているのです。

借りているのは政府です。では、政府は誰から借りているのか?

政府がお金を借りている相手

上図は日本国債の所有者別の内訳です。全て日本円建ての国債になります。
約半分を占めるのは日本銀行です。
日本銀行は日本政府の子会社です(株式の55%を保有しています)親会社と子会社のお金の貸し借りは連結決済で相殺されます。返済が不要になります

日本銀行を除いて大部分を占めるのは銀行と生損保険です。
国債金利がほぼゼロの国債をなぜ上記の2者は購入するのでしょうか?

それは日本がデフレだからです。
どういう意味か?

デフレだと私たちはお金を借りません。企業も需要がないので借金してまでたくさん物を作ることのできる機械を購入しようとはしません。
しかし、銀行はお金を貸して、金利で利益を得る会社です。お金を貸さないといけないのです。

そこに政府が国債発行=お金貸してください、となれば銀行は殺到するのです。
銀行はお金を貸したい→政府は金利を下げる→それでも銀行は国債を買いたい→政府は金利を下げる・・・の繰り返しにより長期金利は低下していったのです。

デフレ深刻化の状態を表しているのです。

上記のことから政府の借金の半分は返済不要、約半分は民間(国民)から借りているのです。
「国の借金1000兆円!国民一人当たり800万円!」という言葉は嘘だということです。
国民が政府にお金を貸しているのです

ハイパーインフレーションは起きない

財政破綻はありえない。しかも、国債発行も日本銀行が買い取ることで返済不要になる。
このようなことを言うと、「そんなことをすると市中にお金が大量に供給され、ハイパーインフレーションになる!」と言われます。

まずハイパーインフレーションとはなにか?
毎月のインフレ率が50%を超えること。1年後には物価が約130倍になることを言います。
今日1万円で購入できたものが1年後には130万円になっているのです。

ハイパーインフレーションを理解していただいた上で今の日本の現状はというと・・・
下図はマネタリーベースとインフレ率の推移になります

マネタリーベースとは・・・日本銀行が世の中に直接的に供給するお金のことを言います。現金通貨、日銀当座預金の合計です。

2013年から第二次安倍政権は異次元の量的緩和により日銀による国債の買い上げが増加しました。
それによりマネタリーベースは約130兆円から約600兆円まで増加しました。
ではインフレ率はというと、2014年に消費税増税による一時的な上昇(消費税増税は強制的な物価の引き上げです)を除くと0%を行ったり来たりしています。

なぜ市中のお金が増加したのにインフレ率が上昇しないのか?
それは、量的緩和により増加したのは日銀当座預金だからです。

(日銀当座預金についてはこちらを参照ください。後半に日銀当座預金について説明しています。)

私たちは日本銀行に口座を持っていない為、日銀当座預金は使うことができません。
お金には種類があり、人によって使用できるお金、使用できないお金が存在します。

量的緩和では、銀行が私たちに貸し出すことのできるお金が増加したにすぎません。
しかし、現在デフレの日本において企業は借金してまで設備投資はしません。

つまり、実際に私たちが使うことのできるお金は増えていないのです。

量的緩和で銀行の貸し出す資金を増加させ、同時に政府は財政拡大で国債を発行し、需要を拡大し、民間がお金を借りるような政策をしないといけなかったのです。

インフレとは

インフレについて少し説明します
インフレとは物価が上昇し、相対的にお金の価値が減少することを言います。
物価はどのようにして上昇するのか?

インフレは需要>供給により起こります。反対にデフレとは需要<供給になります。
今の日本はデフレなので供給が大きい状態になります。

そもそもお金を発行するだけではインフレは起こりません
なぜか?インフレ=需要>供給の状態です。いくら私たちがお金をたくさん持っていても使わなければインフレにはなりません。

例えは私が500兆円(日本のGDPと同程度)の現金紙幣を銀行から借りたとしましょう。
その現金紙幣をシュレッダーにかけ、使用できなくしました。
その状態で物価は上昇しますか?しませんよね?
インフレとは需要>供給であり、私は500兆円のお金で何も物やサービスを購入していないのですから。

事実、安倍政権では400兆円を超えるお金を発行しましたが、ハイパーインフレどころか、マイナスに突入しました。
財政破綻を唱える方達の意見が間違いだと言うことが証明されているのです。

デフレを脱却するためには、政府が国債を発行し、不足している需要を拡大しなければいけないのです。量的緩和+財政政策はセットで行わないといけないのです。

しかし、政府はいくらでも国債を発行できるわけではありません。
唯一の制限、インフレ率です。

国債を発行し、需要を拡大し、目標のインフレ率(現在の日本銀行はインフレ率、年2%を目標)になったら国債発行の金額を減少、又は税収を増加させ、需要を縮小しなければなりません。
そうしなければ、需要はどんどん拡大し、インフレ率が過度に上昇してしまいます。

つまり、国債発行の上限は残高ではありません。インフレ率なのです。

まとめ

100%自国通貨建ての国債を発行する日本において財政破綻はありえません。
日本は円の借金をしても、円を発行できる為、財政破綻しません。
事実、国債発行残高は上昇しているのに長期金利は下落しています。

下は財務省のホームページの一部です

日本のお金を管理する財務省が「自国通貨建ての国債のデフォルトは考えられない。」と、公式に謳っております。

国債も政府の子会社である日本銀行に買い取らすことで連結決算で相殺されます。
国債の所有者も半分が子会社の日本銀行、半分は民間から借りています。
「国の借金1000兆円!国民一人当たり800万円の借金」は嘘です。

日本銀行が国債を買い取ることで発行するお金は日銀当座預金です。
私たちは日本銀行に口座を持っていない為、使うことができません。
日銀当座預金を使うことができるのは政府、日本銀行、民間銀行のみです。
ハイパーインフレは起こりません。

インフレ、デフレは需要と供給の差で決まります。
需要>供給であればインフレ、需要<供給であればデフレになります。
お金の供給量は関係ありません。
今の日本はデフレなので政府が国債を発行し、需要を増やさないといけないのです。
しかし、国債発行の上限は目標インフレ率です。

政府の負債はダメなことではありません。
国債発行は政府によるお金の供給です。
ニュースで「コロナ禍において国債発行、残高が1200兆円超!」と、報道し不安を煽るようなことしてきます。
さらに、コロナ増税も行われようとしています。増税は消費を抑制します。つまり、デフレを加速させる政策です。
「国の借金が増えたし、増税もしょうがないのかな・・・」と勘違いしないようにしてください。

皆さんで正しい知識を身につけ、政治を、未来を変えていきましょう。