お金について

現代貨幣理論
現代貨幣理論

銀行が貸すのは「預金」

皆さんに質問です。
皆さんが銀行から融資を受ける際、銀行はどこからお金を貸しているでしょうか?

他の人が預けた現金を貸し付けている・・・
実はそうではないんです!

正解は・・・
借用証書と引き換えにゼロから銀行預金を発行しているんです。

現金紙幣も同じです
現金紙幣をATMに入金した際、現金=日銀の借用証書 と、引き換えに銀行預金というお金を発行しているんです。

つまり誰かがお金を借りないと銀行預金というお金は生まれないんです。

銀行は、何かしらの借用証書と引き換えに、銀行預金を「ゼロ」から発行している

下図は国内銀行全体のバランスシートになります。
負債側に預金が計上されています。

銀行にとって借用証書は資産、銀行預金は負債という事になります。
借り手にとっては銀行預金が資産、借用証書が負債になります

これが貸借関係になります。

日銀当座預金とは

日銀当座預金とは金融機関が日本銀行に開設している口座になります。
その口座に日本銀行が数字を入力して、金融機関にお金を発行しています。

私たちのに置き換えるところの銀行預金ですね。
なので日本銀行は銀行の銀行なんて言われ方もしている方もいるのではないでしょうか?

日銀当座預金の役割

  1. 取り付け騒ぎの防止
  2. 銀行準備制度
  3. 銀行間の決済
  4. 市中銀行ー日本銀行間決済
  5. 政府への貸し出し


.取り付け騒ぎの防止
取り付け騒ぎとは金融機関に対する信用不信などから預金者が預金を取り戻そうと、金融機関の店舗に殺到し、混乱をきたす現象の事を言います

市中銀行は日銀に持つ口座預金(日銀当座預金)を引き出す事で、現金紙幣を入手する事ができます。
現金通貨の支払い準備の役割になります。

もし、皆さんが一斉にお金を引き出しにきたら銀行も困ってしまいます。
現金を担保に銀行預金を発行している訳ではありませんから。
なので、日銀当座預金があれば、いざという時に現金紙幣に変える事ができます。
それで窓口に置いておき取り付け騒ぎを防止する事ができます。

2.銀行準備制度
金融機関に対し、預金の一定比率以上の金額を日本銀行の当座預金に預け入れる義務をつける制度になります。

民間銀行は銀行預金を無限に発行する事ができます。(貸借関係が成立すれば発行可能な為)
しかし、ある程度の歯止めを掛けなくてはいけない(インフレ率の過熱など)為、貸し出す金額に対し一定の金額は日銀当座預金をもっていて下さいという事です。

3.銀行間の決済
市中銀行Aが発行した銀行預金100万円を、借り手が会社の市中銀行Bの口座に振り込むと
「市中銀行Aの負債が消え、市中銀行Bの負債」が出現します(銀行預金は銀行にとっては負債)
市中銀行Bにとっては、ただ負債が増加しただけなので
市中銀行Aの日銀当座預金から100万円を市中銀行Bの口座に振替え、決済することで
市中銀行Aの資産は-100万円になり、市中銀行Bの資産は±0万円になります。

4.市中銀行ー日本銀行間決済
市中銀行が国債や政府小切手を日本銀行へ持ち込むと、日本銀行は日銀当座預金を「発行」します。

5.政府への貸し出し
日本政府が新規国債を発行し、資金を借り入れる際、市中銀行が日銀当座預金を政府が保有する日銀当座預金に振り込む(お金の発行ではない)

日銀当座預金とは日本銀行、政府、市中銀行しか使えないお金なのです。
なぜなら我々は日本銀行に口座を持っていないからです。
銀行口座を持っていない人には銀行振り込みはできませんよね?それと同じなのです。

まとめ

・我々が銀行からお金を借りる時、他の誰かが預けた現金を借りるワケではない。
・銀行預金は貸借関係が成立したら「ゼロ」から発行できる
・日銀当座預金は日本銀行、政府、市中銀行しか使用できない

今回出てきた、現金紙幣、銀行預金、日銀当座預金とお金は一種類ではなく、いくつもの種類があるのです。
その種類によっては使える人、使えない人が存在する事実を覚えておいて下さい。