種子法とは正式名称は『主要農作物種子法』といい1952年に制定されました。主要農作物とは米、麦、大豆のことを言います。
この法律が出来た背景は、戦後の日本は食糧不足に見舞われ、国民は飢餓に苦しんでいました。このことから『2度と国民を飢えさせない』という決意のもと、政府が主要作物に対し、積極的に関与し、食料確保をする為だったのです。
種子の生産には凄くお金がかかります。
九州地方で育つ種子を北陸地方へ持って行ってもうまく育たないことが多いです。気候や土壌など環境が違う為、うまく育ちません。なのでその土地に合わせた品種改良が行われているのです。手間が沢山かかっているのです。さらに高いと意味がありませんから政府が予算を付けて、安く農家へ提供していたのです。
その種子法が2018年に廃止となってしまいました。なぜ国民を飢餓から守る為に制定された種子法が廃止されたのか?また廃止による私たちへの影響は?解説していきたいと思います。
なぜ廃止されたのか?
規制改革会議より抜粋すると
・生産資材価格の引下げ
(未来投資会議 構造改革徹底推進会合「 ローカルアベノミクスの深化」会合)より
関連産業の合理化・効率化等を進め、資材価格の引下げと国際競争力の強化を図る
戦略物資である種子・種苗については、国は、国家戦略・知財戦略として、民間活力を最大限に活用した開発・供給体制を構築する。
そうした体制整備に資するため、地方公共団体中心のシステムで、民間の品種開発意欲を阻害している主要農作物種子法は廃止する。
『種子の価格が高いから種子法を廃止する!民間の力を借りるともっと安くできる!』という言い分です。
前にも説明しましたが、種子の生産には多大なるコストがかかります。普通に生産し、販売しようとすると価格が高くなります。なので国は予算を付けて安価に提供できるようしていたのです。
利益無視の国と利益確保の民間企業どちらが安く、多種多様で質の良い種子を提供できるでしょうか?
そんなことは分かりきっています。
つまり、種子を売りたい企業にとって種子法が邪魔なのです。
その代表企業が『バイエル(旧モンサント)』というバイオ企業です。
遺伝子組換え作物と発がん性物質グリホサート
バイエル(旧モンサント)は除草剤と除草剤に耐性のある遺伝子組換え種子をセットで販売します。
その除草剤の発がん性物質(グリホサート)によりがんの健康被害が出たとして、10万件を超える訴訟が起き、和解のため1兆円もの支払いに承諾しました
そんな発がん性物質グリホサートを含んでいる除草剤などどの国も買ってくれません。そこで日本に白羽の矢が立ったのです。その除草剤は『ラウンドアップ』です。名前を知っている方も多いのではないでしょうか?
世界的にはグリホサートを排除する動きが強まっています。
なのに日本では除草剤と遺伝子組み換え種子のセット販売しやすくする為なのか、日本では農薬基準の緩和と「遺伝子組換えでない」という表示しにくくする法律も併せて導入されています。
厚生労働省:食品、添加物等の規格基準の一部を改正する件について
消費者庁:遺伝子組換え表示制度
グリホサーとを含んだ作物を食べること、またそのような除草剤に耐性を持った作物を食べることは私たちに良い影響があるとは思えません。
ちなみにバイエル(旧モンサント)の社員食堂では遺伝子組み換え作物は提供されていません。
さらに農業競争力強化支援法(2017年8月)により
第八条の四 種子その他の種苗について、民間事業者が行う技術開発及び新品種の育成その他の種苗の生産及び供給を促進するとともに、独立行政法人の試験研究機関及び都道府県が有する種苗の生産に関する知見の民間事業者への提供を促進すること。
農業競争力強化支援法より
国民の負担で得たノウハウを企業(外資含)に提供しなさいということなのです。
日本の食の安全を海外に委ねるということになります。
まとめ
種子法廃止によって値段は高く、安全ではない遺伝子組換え作物が広がる恐れがあります。
国民にとって何もメリットのない外国企業様の為の政策なのです。
このように種子法の廃止は大きな問題になっています。
地方自治体もことの大きさを理解していますから予算を付けていますが、予算が尽きたら補助出来なくなります。
私たちの食の安全は守られるのでしょうか?
ある政治家は言っていました。「国民が政治に関心を持たないことは良いことだ。それだけ安全な生活ができている。内戦などが起こっている地域では政治に関心を持たざるを得ない」と
政治家を放置するとこのように日本を改悪する法律も出てきます。
政治家は自分たちの思い通りの政策ができなくなるから国民に政治に関心を持ってほしくないのです。
今の時代SNSもあり、声を上げやすい時代です。
私たちは政治に関心を持ち、政治家を監視していかなくてはなりません。
そして選挙で正しい政治家を選出していきましょう。