デフレ化を促進させた日本の成長戦略

日本の政策
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成長戦略とは何か

成長戦略とは簡単にいうと国の経済をどのように成長させるかを示します。

しかし、成長戦略には2つの種類があります。
・賃金主導型
・利益主導型

この2つの成長戦略について説明していきます。

賃金主導型の成長戦略

賃金主導型成長戦略は賃金の上昇が経済戦略の推進力になります。

賃金が上昇するのは人手不足の時です。
現在の日本は少子高齢化により、生産年齢人口が減少しているので人手不足の状態です。
このような状態では賃上げ要求に応じざるを得ないです。

また、労働保護規制が強いことも、賃金の上昇の圧力になります。
最低賃金規制があれば、賃金は規制以下には下げれません。
また、解雇規制が厳しければ、簡単には解雇ができなくなります。

このように賃金上昇の圧力が強いということは、労働者にとっては良いことです。
しかし、企業にとっては人件費が増えてしまい、競争力が落ちてしまいます。

ですが、人手不足や保護規制があると人件費をカットすることができないので、企業は競争力を維持、強化し、利益を増やす為に人件費カット以外の方法を選択することになります。

例えば、設備投資、技術開発に力を入れ、魅力あるモノやサービスを生み出します。
こうして企業は人件費をカットすることなく、利益を確保することができます。

労働者は賃金が上昇し、所得が増えます。所得が増加したことで、消費が拡大しモノやサービスが買ってくれる。結果として企業は利益が増加するでしょう。

このプロセスは永遠に続き、経済が成長していきます。
先進国では第二次世界大戦後から1970年頃まではこのように経済成長していきました。

利益主導型の成長戦力

利益主導型成長戦略では企業の利益を増やすことが経済成長の推進力になるという考え方です。

一番簡単に企業の利益を拡大させる方法は人件費をカットすることです。
企業利益を優先させる為には、労働保護規制を緩和しなければなりません。
また、賃上げを要求する労働者の力を弱めておく必要があります。
代わりに、企業利益拡大を要求する圧力を強める必要があります。その圧力とは投資家です。

企業に対して利益拡大を要求する投資家の力が強まれば、企業は人件費を抑制せざるを得なくなります。こうして企業は利益を拡大しますが労働者は所得を減らします。

労働者は所得が減少し、消費が縮小しますから製品は売れません。
そこで、企業は製品の売り先を海外へと求めます。
さらに、工場まで海外に移していきます。これがグローバル化です。

企業のグローバル化が進むと労働者は賃上げ要求しにくくなります。
企業が「賃上げをすると国際競争力が弱くなる」「人件費が膨らむから工場を海外に移転しないといけなくなる」と脅すからです。

もっと手っ取り早い方法は、賃金の安い外国人労働、派遣社員を雇う方法があります。
企業は賃金が安く、解雇しやすい労働者を積極的に採用していきます。

こうして、グローバル化は労働者に厳しいですが、企業の利益はますます増加します。

利益は増加するのに賃金が上がらないという事は、投資家や企業経営者はより豊かになり、労働者との格差は拡大するのです。
しかし、利益主導型の成長戦略は賃金主導型の成長戦略ほど、経済を成長させないのです。

賃金主導型では所得が増え、需要(消費)は増えていきますが、利益主導型では所得が減少し、需要(消費)が減少します。

また、賃金主導型では企業は設備投資や技術開発に励みましたが、利益主導型では人件費のカットができるので、設備投資、技術開発をせずとも利益を確保することができるからです。

労働者の所得が増えない、需要が増えない、設備投資、技術開発を行わない。それでは、経済が成長する事はできないでしょう。格差が拡大するだけになります。

先ほど述べたように先進国では、1970年頃までは賃金主導型の成長戦略を採用していましたが、1980年頃から、アメリカやイギリスは利益主導型の成長戦略を採用するようになりました。
1990年代になると日本などでも利益主導型を採用するようになりました。

その結果、世界経済の実質成長率は1950年から1970年頃の賃金主導型成長戦略時は4.8%だったことに対し、1980年頃から2010年の利益主導型成長戦略時は3.2%へ低下しています。2010年以降はさらに低下しています。

利益主導型成長戦略の具体的な政策

派遣法…これにより、企業は人件費を抑制されるようになりました。
製造業だけではなく、役所などにもたくさんの派遣社員が雇用されるようになりました。

出入国管理法…これにより、外国人の単純労働者を受け入れることが決定しました。
今後、賃金が上昇しそうになるたびに、外国人低賃金労働者が入国し、賃金の抑制がなされる仕組みが完成しました。

さらに様々な規制緩和により企業同士の、さらには海外企業との価格競争を促進させます。
競争力のない企業は淘汰されます。

このような政策はインフレ対策、デフレを促進される政策なのです。
日本はデフレになってから30年以上デフレ促進政策を次々に行なっていたのです。
それに伴い実質賃金は減少し続けています。


グローバル化は必要?

「グローバル化は必須!世界との戦いに負けると企業が潰れ、雇用もなくなる!」
これがグローバル化を推進する方の意見です。(これはただの表向きの意見であります。詳しくはもちのち解説します)

戦後の日本やアメリカが最も成長した時期は保護主義を掲げていました。

戦後貿易の自由化が進められましたが現在の水準と比べ、かなり緩い管理でした。
自由化の対象も少なく、自由化により不利益を被る産業に対し、補助金を給付し、その悪影響を小さくしていました。

しかし、グローバル化、貿易の自由化がさらに拡大し、政府の補助金なども大幅に削減されてから世界の経済成長は低下し、貧富の差は拡大しました。

自由貿易による安い商品の流入は国内で同じ商品を作る労働者の賃金を低下させていきました。

今の政府はアメリカの参考にした政策も多いですが、今のアメリカがどのような状態かご存知でしょうか?貧富の格差が拡大しています。日本でもあと追うように貧富の格差は拡大しおります。

今日本に必要なのはグローバル化、規制緩和ではないのです。

近年世界ではグローバル化を否定する考えが広がっています。
アメリカではトランプ前大統領は不法移民には後ろ向きでした。メキシコとの国境に壁をつくると発言していました。

イギリスではEU離脱が決定しました。

どちらも移民によって低賃金外国人に自国民の仕事が奪われている現状を変えようとする動きがありました。

自国第一主義のように聞こえますが、自国での貧困が拡大している状況では、移民難民に否定的になってもおかしくありませんね。

しかし、日本ではむしろ外国人を受け入れる方向に向かっています。世界の流れと反対の方向に向かっています。

この30年あまりの日本の構造改革は投資家や経営者が得をする政策が進められ、貧困者は増加していています。
この日本を変える為には、皆さん一人一人が正しい考えを身につけ、政治を動かしていきましょう。