【簡単解説】良いインフレと悪いインフレの違いとは?

現代貨幣理論
現代貨幣理論

現在の日本はインフレ(物価上昇)目標を2%に定め、緩やかにインフレすることを目指しています。
しかしインフレ状態になっても良いインフレでは経済は活性化し、国民は豊かになりますが、悪いインフレでは経済は鈍化し、国民は貧しくなります。
今回は良いインフレ、悪いインフレについて解説していきます。

そもそもインフレとは?

インフレとは物の値段が上昇し、相対的にお金の価値が低下することを言います。

今年1個100円で購入できた物が、翌年200円に値段が上がることです。
今年は1000円で10個購入できましたが、翌年は5個しか購入することができません。
つまりは1000円で購入できる物の数が減るので、相対的にお金の価値が低下したことを意味します。

このように物の値段が上昇する事をインフレと言います。
例のようにインフレ率100%だと物の値段が1年で2倍になりますので家計はパニックになってしまいます。
それを避ける為に緩やかなインフレ率2%を目標としているのです。

良いインフレ

良いインフレと悪いインフレの違いな何なのか?
どちらもインフレですので物価が上昇することは同じです。しかし、物価上昇の要因が異なるのです。

良いインフレの物価上昇の要因は、需要と供給の差で生まれるギャップが原因になります。

商品を10個生産し、購入したい人が11人いれば定価よりも少しお金を出しても購入したい人が出てくるでしょう。オークションをイメージするとわかりやすいでしょう。このように供給よりも需要が大きい状態が続くことが良いインフレのギャップになります。

商品が購入されるのでお店は売り上げが上昇し、従業員の給与も上昇し、給与が上昇することでさらに購買意欲が上昇…のループで物がどんどん売れていきます。これがインフレスパイラルになります。

このように需要が大きくなるなることで物価が上昇することが良いインフレになります。
消費税減税の一つの理由がこれにあたります。

悪いインフレ

では、悪いインフレとは何なのか?それは需要拡大以外の要因による物価上昇になります。
一つの例をご紹介します。

1970年台に発生したオイルショックです。
中東戦争の影響により石油の価格が上昇しました。石油価格上昇によりガソリン価格の上昇、それにより輸送価格の上昇、石油を原料とするあらゆる商品の価格が上昇しました。

良いインフレの時と異なり、先に商品の値段が上昇することになります。
給与が同額で物の価格が上昇することで購入できる商品の数が減少します。商品の値段は上昇しているが原料価格が上昇しているだけなので会社の利益は変わりません。(むしろ消費者が購入を控えるので利益を縮小してでも価格を下げ購入してもらおうとします)会社の利益が減少するので給与が減少、消費者の購買意欲が減少、企業は売り上げが減少…のループに陥ります。
これが悪いインフレになります。そして悪いインフレは景気を悪化させます。

ちなみに景気が後退いていく(デフレ)状態でも、インフレが同時に進行する現象をスタグフレーションと言います。

まとめ

インフレには需要が拡大することにより起こる良いインフレと、需要拡大以外の要因で起こる悪いインフレの2種類が存在します。

悪いインフレの例として今回は石油価格の上昇を説明しましたが為替、消費税増税でも同じことになります。
今、消費税を10%→5%へ低減する案が野党内で活発になっています。これは物の値段が今の5%オフで購入できることになりますから消費が活発になり、需要の拡大が期待できます。

日本が目標にしているのは需要が拡大することによる良いインフレです。
早くデフレを脱却し、インフレ経済に戻って頂きたいと思います。